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私自身の経験から言っても、演奏にはその人のパーソナリティがかなり影響します。音楽という抽象的な分野においては、具体的な言葉を歌う、シンガーは別として、楽器を演奏するプレーヤーというのは、個性を出す為に、音色を代える事は出来ないので(厳密に言っても、シンセであるとか、電気楽器のエフェクターというのにも、個性が出るとは言い難い)、演奏方法によって、個性を主張しなければ、プレーヤーとしての価値がほとんど無きに等しいものになってしまいます。 クラシックの世界では、譜面通りに演奏していれば済むわけですが、それでも微妙な演奏のニュアンスで、ワンandオンリーのものを持っていなければ、一流とは言われません。まして、演奏方法が自由で、またアドリブをたくさん必要とし、演奏そのものも、楽譜通りに弾く方が「野暮」と言われる、ジャズやフュージョンの世界では、いかにオリジナリティあふれる演奏をするかが、プレーヤーとしての価値そのものにつながります。 ジャズピアノの世界においては、男性は今まであまたのピアニストがいるので、「誰それに似ている」とか「だれだれの系譜を引き継ぐ」などと類型的に語られてしまう事が多いのですが、案外男性という生き物は、個性に執着しないもののようで、「ええ、私は誰それの演奏を聴いて感動して、真似ばかりしていました。ですから、彼の影響を受けているのは当然です。」などと平気な顔をして言えてしまいます。 ところが、女性(特にプレーヤー)の場合、前例となるプレーヤーがいない事と、自分がワンandオンリーの存在である事を主張する事にこだわる、それはもしかすると音楽の世界が男社会であった事に原因があるのかもしれませんが、自己の確立に非常に懸命になります。 そこで、私がライヴで聴いた事のある、日本の女性ジャズピアニストを鑑みてみると、やはり性格がダイレクトに演奏に反映されている事に気づかされます。CDを聴くだけでも、ピアニストであれば、大体の性格が分かります。 例えば、人気のあるところで言えば、国府弘子女史。「女史」というより、「姐さん」と言いたくなる彼女の場合、明らかに、叙情的な曲が苦手です。メロウな曲になると、表現力が物足りないところがあり、甘く酔わせる演奏、というものが出来ているとは思えません。むしろ、パワフルな曲で、彼女の魅力が全開になります。何たって、タッチが強い。指先の鍵盤を叩く強さが、クラシック仕込みの男性顔負けの、力感あふれるものがあって、迫力を必要とされる、普通の女性ピアニストがあまり好んでやるような曲ではないものを、ガンガンに弾くと、聴いている方も、「よしっ」と言う感じになるのです。 ラジオのパーソナリティーとしても引っ張りだこの彼女の場合、ピアニストとしてより、その人間性が好まれる傾向があり、どこが好まれるかと言うと、その「ガテン」系な男っぽい性格で、リスナーのはがきに対しても、ざっくばらんにさばけたしゃべりをしたり、ライヴで見てさらに印象的なのは、そのガタイの良さ。決して太っているわけではなく、肩幅が広い。頼りがいのある背中をしている。「あ〜、この人に繊細な演奏を求めるのも、あまりムリだなあ」と思ってしまいました。 先日、私は見ていなかったのですが、ようやく全国ネットのテレビで、その姿と偉大な業績に光が当てられた、松居慶子氏の場合。彼女はアメリカを活動の拠点としていて、特に西海岸で活動しているので、西海岸のジャズの特徴として、さわやかでメロウな曲が好まれる傾向があり、女性らしさを発揮するのに、とても適した環境にあります。彼女は、日本人のピアニストで初めてビルボードのコンテンポラリー・ジャズチャートでナンバーワンを取った人であり、とかくジャズにおいて日本人と言うのは、ややアメリカでは「二流」のイメージを持たれがちで(秋吉敏子先生は別格です)、また叙情的な曲を弾きこなすプレーヤーの多い、西海岸のジャズシーンで頭角を現した彼女のセンスは、小うるさいリスナーにも認められました。彼女の場合、シンセを使う事も多く、柔らかい音色で勝負します。プレースタイルからしても、そうした女性的なしなやかさ、というのが性格の基本にあると思います。もちろんアメリカで成功するのですから、弱々しい人ではないのですが、アメリカ人女性と言うのは、どちらかと言うとムキムキの人が多いので、東洋的な「たおやかさ」を持ち合わせた、彼女のパーソナリティーが新鮮に映ったのではないでしょうか。 東海岸のジャズシーンと言うのは、ストレートアヘッド(真正面からぶつかる、というようなニュアンス)なプレーが、基本になっているので、大西順子氏のような、ライヴ会場に飛び込みでプレーして、拍手喝采を浴びる、というような根性の坐った人が、やはり演奏面においても、哲学的と言うか、禅問答的と言うか、内省的なプレースタイルを持ちつつ、表現者としては、あくまでも前衛的なスタイルで、観客を魅了します。ただ、こういうタイプは女性に対して寛容な周囲の環境が無いと、成功しません。NYは前衛的なものなら、性別に関係なく受け容れる素養があるのだと感じます。 最後に、今後注目のピアニストを挙げておきます。もう日本でもかなりライヴをこなしていて、その方面の方ならご存知の事と思いますが、SAYAと言う女性ピアニストがいます。サン・フランシスコを基盤に活動をしている人で、アイズレー・ブラザーズのバックメンバーとして、各地を回った経歴を持つ、スムース・ジャズのスタイルを持つピアニストです。軽快かつ叙情的な、流麗なスタイルを持っています。遠くからしか見た事が無いのですが、間違いなく美形です。男性諸君はそういう面からも注目の人です。ストレートのロングヘアで、端正な顔つきで、鼻筋がすうっと通っていて、演奏中も柔らかい表情で弾くので、「かぶりつき」で見たいと思える人です。
by journalism-1
| 2005-03-14 22:49
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